「燃料電池を追って」
昨年度の
第2回リバネス教育応援助成金HONDA賞
採択テーマ:「もっと身近に、誰にでも、まず、自分の手で」
3月末の最終報告前に、仙台白百合学園小学校で授業をさせていただきました。知的な子が多くて驚かされました。
そこまでの経緯を学報リス・ブランに書かせて頂きました。
◆ユニークな研究紹介◆
「今」の科学を授業に
小学校の授業は、教科書をもとに行われます。教科書は、おおむね10年間で新しくなる学習指導要領をもとに作成されます。10年経過したもの、つまり、過去の科学の素晴らしさから学ぶことになります。この情報化社会の中で、です。
教科書に詳しく書かれていないことを扱うのは、学校現場では、学習指導要領の縛り、教師の忙しさから教材開発にかける時間不足など、難しいのが現実です。
燃料電池車にひかれて受けたリバネスの教育応援助成金HONDA賞が採択され、水の電気分解装置・燃料電池車と開発予算を得ることができました。小学校を中心にした新たな教育プログラムの開発を行うことになりました。燃料電池車をどのように授業の中に活用していくか。先行実践がほとんどないため、無から始まりました。
まず、水の電気分解の装置を使って水素を取り出すことを何度も行いました。装置の改良点を指摘した後、最終的には、水酸化ナトリウムの危険性と効率の悪さから、(高価な装置を頂きながら)この装置を使わないという方向に定めました。
水素は、実験用気体ボンベから取り入れ、燃料電池車を動かすことにしました。動くととても楽しいものですが、スタックの状態によって動かなかったり、水素を送る注射器との接続が良くなくて動かなかったりと試行錯誤の繰り返しでした。
12月6日サイエンスキャッスルでホンダブースの隣で中間発表を行いました。
3月7日に仙台白百合学園小学校で総合の授業を行いました。まず、袋の中に入った水素を、手で持ってもらいました。大気中には存在しない水素、教科書では扱わない水素ですが、6年生の児童から「水素」の言葉が出てきました。水素の簡単な説明後、燃料電池車に水素を入れて動かす時間をとりました。歓声の中、20分間、6台の燃料電池車が動きました。その後、化石燃料の限られた量とそれによる地球温暖化、発電の仕組みなどについて触れ、エネゴリ君の話題を交えながら燃料電池のすばらしさを伝えました。発売間近のホンダ自動車からの燃料電池車の仕組み・値段など、今現在起こっている科学の進行は児童の関心を引きつけます。
この授業は、パワーポイントを活用して行いました。準備物の説明だけでなく、発問・指示など発表者ビューに全て入れ、燃料電池車と付属品、そして水素があれば、誰でもどこでも燃料電池の授業ができるようになっています。
再生可能エネルギーの最終形と言われている水素と酸素による燃料電池での発電が、今の世の中を現在進行形で変えています。科学の楽しさは、この変わっていく瞬間の実感だと思います。 [学報リス・ブラン№70掲載]
2016年5月15日(日)、「小学生のための理科の王国」(主催:教育応援プロジェクト「理科の王国」実行委員会、後援:墨田区、墨田区教育委員会)が東京都墨田区立曳舟小学校で実施され、参加協力企業・団体が15のプログラムを行いました。
そのうちの1つ、本田技研工業株式会社のプログラム「水素エネルギーを体験しよう!」(対象:小学4年生~6年生)で、本学、人間発達学科 沼澤清一准教授が、講師として授業を行いました。
水素はどのように作られ、エネルギーとして使われるのかについて学びました。また、水素の性質や実用化されはじめた水素で動く燃料電池車を動かす体験を通して、水素を「つくる」「つかう」「つながる」をキーワードに最先端の技術を体験することができる授業でした。